新米パパの頭の中

30代 1児の父が、日々考えたことを綴ります。

キャリアの観点からみた育児の6つのメリット

今回は、育児とキャリアについて、2ヶ月間休業して育児に専念した経験を通じて考えたことを綴ってみたいと思います。

 

僕は、会社に休業を申請する前は、長期間休業することで会社やチームに負担がかかることや人事評価への影響、一時的な収入減や賞与の減少を考えて色々と悩みました。

 

しかし、2ヶ月の育児を経験した今振り返ると、必ずしもマイナスばかりでなく、むしろ中長期的に仕事に活かせることがかなり多く、キャリアの観点からも2ヶ月間休業して良かったと思っています。

 

一般的に、仕事への責任感やモチベーションが強い人ほど、キャリアが中断することに強い抵抗があり、育児に専念しづらく悩むことが多いと思います。

そのような人に、僕の経験が参考になればと思います。

 

キャリアの観点からみた育児経験の6つのメリット

 

僕は、育児を経験することには6つのメリットがあると考えています。

そして、この6つを具体的に活かせる領域として下記の3つがあると思います。

 

(a) マネジメント・コミュニケーション
(b) マーケティング・商品開発/事業開発
(c) キャリアビジョン

 

以下、それぞれの点について考えたことを綴っていきます。

 

(a) マネジメント・コミュニケーション

 

① 周りの女性や育児中の親等に対する配慮の必要性・重要性を強く実感できる

少し前(2014年度)のデータによると、全国の労働局には、妊娠中に会社から十分な勤務配慮を受けられなかったという相談が1,300件超/年もあり、近年は増加傾向にあるようです。

労働局に相談する人は、悩んでいる人の内ごく一部だと思いますので、実際の人数は驚くほど多いのではないかと思います。

 

法律や制度の整備が進んでいながら、現場レベルで実行が徹底されないのは、おそらく現場の対応力に問題があるからだと思います。

そして、その本質的な原因は、マネジメントを中心とする現場の人たちの理解や共感の不足にあるのではないか、と思います。

 

僕も妻が妊娠する前までは、恥ずかしいことに、会社に妊娠中の女性がいても何を話せば良いのか、どんな配慮をすれば良いのかがほとんど何も分からなかったし、育児を経験する前は、会社に育児中の親がいてもどんな苦労をしているかよく理解できていませんでした。

 

しかし、妻の妊娠・出産を側で支えた経験や2ヶ月間の休業を通じて、妊娠中の女性がどんなことに不安を持っているか、育児中の親がどんなことを気にしているか等について強く実感できたと思います。

 

例えば、妊娠中の女性に対しては、業務量を調整し時短で仕事できるようにする、在宅でも仕事できるようにする、体調が悪い時は無理せず休んでもらう、その分他の人が協力してカバーできる柔軟な体制をつくる、子供が病気の時は無理せず休んでもらう、育児中の親が家族との時間を大切にできるよう組織の生産性を上げる等です。 

どれも言うのは簡単ですが、実際には意外と十分に実行されていないように思います。

 

女性活躍や男性の育児参加等が推進される中、組織のマネジメントやコミュニケーションにおけるこのような配慮の重要性は、今後より一層高まっていくでしょう。

 

妻の妊娠・出産を側で支えた経験や2ヶ月間の休業を通じて、このような配慮の必要性・重要性について強く実感できたことは、今後の組織マネジメントやコミュニケーションに活きてくると思います。

 

② 非言語コミュニケーション力が磨かれる

生後間もない息子は表現力が極めて未熟なので、五感をフル活用して彼のニーズに耳を傾ける必要がありました。

 

例えば何をしても泣き止まない時など、全身の神経を研ぎ澄まして対話する必要がある場合もあり、言葉には表れないものを聴き取る力が随分と磨かれたように思います。

  

③ 苦手な人との心の距離を少し縮められる(一方的)

誰にでも、苦手な人はいるかと思います。

特に仕事においては、苦手な人とのコミュニケーションは避けられないため、思い悩むこともあるかと思います。

僕も、苦手な人とのコミュニケーションが上手く行かず、苦労することがよくありました。

 

しかし、子育てを機に少し気持ちに変化が生まれました。

 

息子を眺めていると、大人も皆、昔は赤ん坊だったのだという極めて当たり前の事実を強く認識させられます。

そして、 「苦手な人たちも生まれた時はとっても可愛い赤ん坊だったんだな」という当たり前の事実を認識すると、苦手な人も少し可愛く見えて来て、(一方的ですが)苦手な人との心の距離が少し縮まったように思います。

 

(b) マーケティング・商品開発/事業開発

 

④ 育児中の男性が直面する課題を実感できる
育児中の男性の多くは、慣れない家事や買い物にとても苦労すると思います。

 

例えば、僕が最も最も苦労したのは献立づくりです。

毎食の主食・主菜・副菜の組合せを考えることは、想像以上に大変で骨が折れることでした。

 

特に僕は、大学1年以来まともに料理をしたことがなく料理のレパートリーは皆無だったので、人一倍苦労したと思います。

(→前回ブログ2ヶ月間育児に専念して良かった6つのこと - 新米パパの頭の中をご参照ください)

 

このような課題認識は、今後マーケティングや商品開発/事業開発で活かせるチャンスがあるかもしれません。

 

例えば、2017年11月に10Xというスタートアップが「タベリー」という10秒でできる献立作成アプリをリリースしましたが、このサービスはメルカリ出身の10Xの矢本社長が育児休業を経験したときに感じた献立作成へのストレスをきっかけにつくったものだそうです。

この例のように、僕も育児休業の中で気がついた様々な課題を何らかの形で仕事に活かすことができないか考えていきたいと思います。

 

⑤ 毎日のショッピング等から、マーケティングや商品開発/事業開発に役立つ生活者視点を養うことができる

毎日の食事や赤ちゃんグッズのショッピング等を通じて、仕事を続けていたら肌感覚を得にくい主婦等の生活者視点を養うことができたと思います。

 

例えば、スーパーで買い物する際、当初は何を基準に選んだら良いのか分からず季節はずれのフルーツ・熟れすぎたアボガド・しなびたレタス等を買ってしまい、随分と妻から呆れられました。

 

しかし、続けているうちに主婦がどのようなことを気にして買い物をしているかよく理解できるようになり、妻から呆れられることはほとんど無くなりました。

 

その他にも、ベビーカーや抱っこ紐で散歩すると気がつく道の凹凸やちょっとした段差・階段の不便さ、たばこの煙の子供への悪影響等は育児の経験によって、強く実感できたことでした。

 

このような視点は、特にB2Cビジネスでは、マーケティングや商品開発/事業開発等で活かせるチャンスが多いと思います。

実際、既に多くの日本企業(例えば、積水ハウス花王カルビー日産自動車等)は、商品開発やマーケティングに女性や育児を経験した親の視点を取り入れているようです。

 

(c) キャリアビジョン

 

⑥ 自分の生き方を深く見つめ直すことができる
息子の成長を見ていると自然と自分の過去にも興味が湧いて来ました。

 

例えば、名前の由来から、親の教育方針、幼い頃の性格、自分の個性を形づくった原体験、大きな喜びを感じた瞬間、大切な人との出会い・別れ、他者にはない自分の強み、逆に決定的に足りないもの、興味関心の変遷、今後やりたいことまで様々なことについて思いを巡らせました。

また、子供の将来を思い描くと同時に、自分は将来どんな大人になりたいか、どんなパパになりたいか、そしてどんなキャリアを描きたいかについて、具体的なイメージを持つことができたのも良かったです。

 

このようにして頭と心を整理することは、自分の中にブレない軸を形成しキャリアビジョンを具体化するのに役立ったと思います。

 

まとめ
以上の6つの観点から、育児休業はキャリアにとって必ずしもマイナスばかりではなく、むしろ中長期的にはプラスに働くことがとても多く、2ヶ月間休業して本当に良かったと思っています。

 

2ヶ月間育児に専念して良かった6つのこと

日本人男性では未だ極めて珍しい、育児のための休業を経験した人間として、折角なので、この経験を通じての感想を綴ってみたいと思います。

 

休業を申請する前は、キャリアを中断することに少なからず不安を感じたこともありましたが、結果として、僕は2ヶ月間育児に専念して良かったと心の底から思っています。 

 

具体的には、以下の6点について良かったと思っています。

 

2ヶ月間育児に専念して良かった6つのこと

 

① 妻の心身の順調な回復と子の成長を、一番近くで支えることができた

現在の日本では、産後の女性の1割が産後うつになり、産後に自殺する女性の3割が産後うつが原因と言われています(厚労省より)。

 

そして、産後うつの原因は、産後のホルモンバランスの急激な変化や心身の疲労、育児や仕事に対する不安であり、予防・解決には家族を初めとする周りの人々の支えが不可欠であると考えられています。

 

妻と僕も同様に、妊娠中から育児に大きな不安を持っていました (→ 前回ブログ

僕が2ヶ月間休業して育児に専念した5つの理由 - 新米パパの頭の中をご参照ください。

 

これを踏まえ、妻が産後うつになることなく、安心して身体の回復と育児に励める環境をつくることが、僕の育児の最重要テーマでした。

 

2ヶ月が経ち、僕がどれだけ貢献できたかは分かりませんが、妻は心身ともに順調に回復し、息子も元気にすくすくと育ってくれたので、とても安心しました。

 

② 出産直後から、育児に対して強い責任感が芽生えた

一般的に、父親は父親意識が芽生えるのが母親よりもかなり遅いと言われてますが、僕の場合は、育児休業の効果か、出産直後から育児に対する責任感のような感情を強く持っていて、初日から当たり前に育児や家事に励むことができました(出産に立ち会ったことも影響したような気がします)。

 

昨年TBSで放映された ドラマ「コウノドリ」のワンシーンに、ナオト・インティライミ演じる夫(自称イクメン)が、高橋メアリージュン演じる妻に対して、「僕も(育児を)手伝うよ」とドヤ顔で言い、星野源演じる産科医が 「ふざけんなよ。あんたが父親だろ」と叱るシーンがあり話題になりましたが、もし休業していなかったら、僕も妻に対して、ナオト・インティライミと同じような発言をしてしまったかもしれません。

 

③ おむつ交換から、お風呂・寝かしつけ・腸マッサージ等まで、満遍なく乳児期の育児の基礎を身につけることができた

寝かしつけについては、当初は息子が中々寝てくれずとても苦労しましたが、毎日息子に接していると、次第に息子の表情や仕草から何を欲しているかが理解できるようになり、スムーズに寝かせることができるようになりました。

(息子は、夜寝つけなくても、僕のお腹の上ではすぐに寝てくれます。たるんだ柔らかいパパのお腹が気持ちいいようです。)

 

④ 料理等の家事スキルが飛躍的に上達した
僕は、大学1年時以来、料理をした記憶がなく、驚く程料理のセンスがありませんでした。

 

当初は、ごく簡単なメニューをつくるのに2時間かかったり、味のない味噌汁を作ったり、砂糖味しかしないカラカラのスクランブルエッグを作ったりと、妻に呆れられました。

 

しかし、クックパッド等を頼りに試行錯誤を繰り返した結果、2週間くらい経った頃には、凝った料理でなければ、レシピを見ずにそれなりの料理を用意できるようになり、味に厳しい妻からも「私よりも上手くなったね」と褒められるようになりました。

 

これは、自分にとっても想定外の収穫で、本当に嬉しい経験でした。

人間って、変われるものですね。

 

⑤妻が、以前より少し優しくなった

男性の育児休業が極めて珍しい中、僕が多少なりともリスクをとって決断したことに対して、妻はとても感謝してくれました(僕は感謝されるためにやったのではないのですが)。

 

そのお陰か、靴下を片方なくしたり、家中の電気をつけっ放しだったり、毎日僕宛にアマゾンから大量の本が届いたりといったことに対して、妻は以前よりも寛容になってくれました。

 

⑥ 妻の家族や親戚との信頼関係が深まった
妻の心身の回復を何よりも願う妻の家族・親戚は、僕が仕事を休んでまで育児に専念したことに大変感謝してくれ、育児をきっかけに信頼関係を深めることができました。

 

妻の家族との信頼関係を深められただけでも、この2ヶ月には大きな意味があったと思います。

 

まとめ

以上の理由から、僕は2ヶ月間育児に専念して本当に良かったと思います。

 

とは言え、確かにキャリアへのネガティブな影響は短期的には存在し、それが多くの日本人男性が育児休業を諦める要因になっているかと思います。実際、僕も悩みました。

 

次回は、育児休業のキャリアへの影響について考えたことを綴ってみたいと思います。

 

 

僕が2ヶ月間休業して育児に専念した5つの理由

2017年10月の第1子(長男)誕生の直後より、2ヶ月間仕事を休み、育児に専念しました。

 

日本では、政府や企業を中心にイクメンの増加を積極的に推進しているにも関わらず、未だに男性による育児休業の取得は極めて珍しく(2016年の男性の育児休業取得率は3.2%)、休業したくてもできない人はとても多いと思います。

そんな方々に対して、僕の経験が少しでも参考になればと思い、僕がこの決断をした理由を綴ってみたいと思います。

 

僕が、2ヶ月間休業し育児に専念した5つの理由

 

① 里帰り出産ではなく、東京で出産・育児をしたいと思った

妻は、実家が九州であり里帰り出産をするという選択肢もありましたが、妊娠初期の頃からつわりが酷く、妊娠中に飛行機に乗ることに強い不安があったこと、東京で通院していた病院が非常に信頼できたことから、夫婦でも話し合った結果、東京で出産・育児をすることにしました。

 

② 基本的に、夫婦2人で育児をする必要性があった

東京で出産・育児をするため、基本的に、育児は夫婦2人で行う必要がありました。

 

ベビーシッターの利用も検討しましたが、妻が産後の心身共に不安定な時期に、シッター等に家事や育児をお願いすると、逆に気を遣って精神的負担が大きくなることが懸念されました。

 

③ 父親として、育児に積極的に関わりたいとの強い気持ちがあった

このような事情から、僕は育児休業の取得を真剣に考えるようになりました。

 

また、僕は子供が好きであり、積極的に育児に関わりたいとの強い気持ちを持っていました。

妻も、これからの長い子供との生活を見据え、僕には側で育児をして欲しいとの思いを持っていました。

 

加えて、義兄が、3年前に長女の育児のため1年間の育児休業を経験していたことも、僕の気持ちを後押ししてくれました。義兄のお陰で、僕の両親の理解を得やすかったこともプラスに影響しました。

 

④ キャリアへの影響は、必ずしもマイナスばかりではない、と思った

僕が、育児に積極的に関わりたいと思った背景には、育児の経験は、必ずしもキャリアにマイナスではないはず、との考えもありました。

 

育児を通じて、女性・育児中の親の気持ちや解決すべき課題について深く理解できれば、将来的に組織を引っ張る立場になったときに、会社やチームのマネジメント、或いはマーケティングや新規事業開発に活かせる部分が少なからずあるはずだ、と考えました。

 

確かに、短期的には、会社の上司や同僚への負担、人事評価への影響、一時的な収入減等のマイナス影響がありますが、中長期的にはプラスに働く部分が大きいだろう、と思いました。

この辺りについては、後日少し掘り下げて綴ってみたいと思います。

 

 有給消化により、休業中の給与が100%保証された

こうした背景から、僕は育児休業をとることを決意し、会社に育児休業の取得を相談しました。

その結果、有難いことに、会社からは、僕の一時的な収入減に配慮し、育児休業ではなく有給消化で代替してはどうか、との提案がありました。

 

僕は、これまで有給の未消化が続いており、相談した時点で約2ヶ月分の有給休暇が残っていました。

有給休暇で代替できば、休業中の給与は100%保証され、生活への不安は大幅に解消されますので、とても有難い提案でした。

 

まとめ

ここに綴った5つの理由を踏まえつつ、最終的には、確かに短期的には少なからずマイナスのインパクトはあるものの、人生一度きりだから思い切ってやってみようと思い、2ヶ月間の休業を決断しました。

 

2ヶ月間育児を経験して感じたこと

実際に育児を経験してみると、特に出産後〜1ヶ月までは、休業前に想定していたよりも格段に大変なことばかりで、恥ずかしながら心が折れそうになったこともありました。

しかし、2ヶ月が経過し、妻の体調が順調に回復し、子供がすくすくと育っている姿をみると、休業して良かったと心の底から思います。

 

次回は、実際に2ヶ月間の育児を経験して感じたことについて、もう少し具体的に綴ってみたいと思います。